北海道下川町、林業の町が生んだエッセンシャルオイルの魅力とは。森とくらすライフスタイルを提案するユニセックスボディケアブランド【NALUQ】。
株式会社フプの森
北海道下川町「NALUQ」
代表取締役 田邊真理恵様 インタビュー
「社会派化粧品」【NALUQ -ナルーク-】
北海道生まれのモミの精油を使用したオーガニックボディケアブランドブランド誕生の秘話、製品の魅力を代表の田邊さんに伺った。二度にわたりご紹介致します。
田邊さんと坂田が最初に出会ったのは2020年1月、唐津のFACTでのこと。坂田が「社会派化粧品」のブランドの中で初めてお会いしたのが「フプの森」の田邊さんだった。
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
「フプの森」が行う事業について
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
毎日、蒸留をしてエッセンシャルオイルをつくっているイメージを持たれがちだ、実際は製造をする日というのはそんなに多くはないのだと田邊さんは語る。
小さな会社である為、山に葉っぱを取りに行くところから、お客様と対面して物販をするところまでの全てを「フプの森」のメンバーの3人で行っているとのこと。ずっと製造に従事しているわけではなく、それ以外の業務も多い。
現在の季節はトドマツを切る作業はまだ行われていない為、今はデスクワークが主となっている。忙しいシーズンはおよそ夏から秋。具体的にそれがいつになるかと言うのは、林業の仕事の中で木が切られるかによるので、田邊さん自身も予測がつかないのだと言う。作業が始まれば毎日山へ行き、葉っぱをとる作業を行う。それがない時は、伐採を待ちながら他の業務にあたる。つまり林業と隣り合わせの仕事なのだ。
トドマツから生まれたエッセンシャルオイル
https://colocal.jp/news/60215.htmlより引用
トドマツの葉っぱから精油を作ることがブランドのスタートだった。出来上がると小瓶に入ったエッセンシャルオイルに。そのオイルを使用して様々なコスメや雑貨などの商品展開を行っている。
田邊さんたちが活用しているトドマツの葉っぱというのは、林業の中では不要な部分であると言う。木を育て、切って、売るという中では丸太が主役なのだ。それ以外の葉っぱはこれまで森の中に置かれたままだったという。
その葉っぱを有効活用する目的で始まったのが精油作りだった。まずその取り組みを始めたのは、森林組合だったそうだ。元々は町の中で、オイルを作ろうという活動となり、森林組合が事業化し、現在は田邊さん達が独立され精油事業の会社を立ち上げたという経緯がある。
「モミの木」の精油の魅力とは
モミの木が主役となって製品が生まれている。モミの精油はどんな香りや、効能があるのだろうか?
https://colocal.jp/news/60215.htmlより引用
香りの魅力
木の香りというと、代表的には「ヒノキ」などの落ち着いた香りのイメージがある。しかし、モミの精油は柑橘系やハーブに近い様なスッキリとした印象があると言う。
「NALUQ」の精油の原料は木ではなく、葉っぱの部分である為、爽やかな香りを感じることができる。
地元の中学生が環境教育の一環で見学へ来た際には、「グレープフルーツみたいな匂いがする!」という声もあったそうだ。透明感のあるキリッとした香りが、弊社でも人気だになりつつあり、Maison de Naturopathie という弊社のブランドから生まれたコスメ「BIWANOHA OIL」には香りとして賦香されているので楽しんでみて欲しい。
モミの精油の効能
特徴として、モミ属のオイルはどれも呼吸器系のケアに良いと言われている。
田邊さんも花粉症であるが、咳が出た時にオイルの香りを嗅ぐと楽になるのだと言う。また、海外では冬場の寒い時期に風邪の予防としても活用されてきた。
【基本データ】
通称 モミ(Momi/樅)
別名 トドマツ(椴松)、北海道モミ、Sakhalin fir、Todo fir
学名 Abies sachalinensis
科名/種類 マツ科モミ属/常緑高木
主産地 日本(主に北海道)
抽出部位 枝葉
抽出方法 水蒸気蒸留法
色 ほぼ無色
ノート トップ~ミドルノート
香り度合い 中くらい
代表成分 カンフェン、ボルニルアセテート、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ミルセン
おすすめ 芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング
【期待できる効果】
●精神面●
リラックス・安眠サポート
ストレス・神経疲労
イライラ・興奮・緊張
気持ちを落ち着けたい
癒やしが欲しい
ゆったり寛ぎたい
●肉体面●
風邪・インフルエンザ予防
喉や鼻の不調軽減に
血行不良・冷え性
肩こり・腰痛・筋肉痛
関節痛・リウマチ
消毒・消臭剤代わりに
子育てと森の仕事
田邊さんには小さな子供がいる。ご主人と家族で森の暮らしを伝えているのだ。小さな子どもを育てながらの事業で大変に感じることはありますかと、坂田が問う。「この事業だから大変というわけではなく、どの業種であっても仕事と子育ての両立は単純に大変だと感じている」と語る田邊さん。
しかし逆に言うと、この業種だったおかげで、森を身近に感じさせてあげることができたり、植物の本物の香りを嗅がせてあげることができることは、とても良かったと感じていると言う。
下川町へ移り住んだきっかけ
北海道千歳市生まれの田邊さん。そこから下川町へ移り住んだきっかけを伺った。
https://colocal.jp/news/60215.htmlより引用
元々「森」に興味があったと言う田邊さん。
世界中で森がなくなってきていること。また、中高生の頃に「違法伐採」をメディアで知った。自分たちの消費活動の中で違法伐採された木を使う為に、繰り返されてしまうことに大きなショックを受けたと言う。
それがきっかけとなり「森」に憧れと興味を持ち、色々と調べるようになった。大学時代には実際に森に入って森林の調査を行うサークルにも所属し活動をする。自身が山へ行く様になり、トドマツの香りの魅力を知った。いつか社会人になった時には森の仕事がしたいと考える様に。
「北海道であれば下川町が林業が盛んで面白いことをやっているから、行ってごらん」と関係者の方に言われ、見学へ行ったのが最初のきっかけだった。その時すでに下川町での精油事業は始まっていたと言う。田邊さんはしばらく、応援団の様な立場として関わりを持っていたそうだ。
その頃にフプの森を一緒に立ち上げた亀山さんと出会う。当時、亀山さんは精油事業を一通り経験し、一度下川町を離れていた時だったと言う。その為、他の担当者との出会いもあった。なんとその方が現在の田邊さんのご主人である。
作っているものと、取り組む事業について
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
下川町は北海道の上の方にあり、旭川から車でおよそ1時間の場所。東京23区程の面積の町で、土地の約9割を森が占めている。元々林業が基幹産業となっており、昔から盛んであった。いっときには鉱山も栄えていたそうだ。一番栄えていた時の人口は1万5000人程。しかし現在はおよそ3300人まで減少している。人口が減り、過疎化の一途を辿るが、下川町に暮らす町民の皆さんは前向きで明るい方が多く、非常に色々なことに前向きに取り組まれるという。
林業を中心として、森づくりや森に関わる色々な活動を行なっている。それに含め、バイオマスエネルギーなどにも取り組んでいる。その様々な策や活動が評価され、2017年には第1回「SDGSアワード」総理大臣賞を受賞する。
そのため、視察にはたくさんの方がいらっしゃるそうだ。観光よりも視察の方が多いくらいだと言う。
林業について
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
明治時代の頃から木材を供給する産地であり、全国的にも有名な土地である。昔から林業を営んでいた。
北海道は原生林で元々太い木が生えており、それをどんどん切っていき、その後は自然と元に戻るのを待つと言う「植えない林業」が基本であった。しかしだんだんそれでは追いつかなくなり、途中からは「森林経営」という形の林業にシフトしていく。
外の資本である鉱山だけに頼らず、町の雇用を安定させる為に国有林を買い取り、「町有林経営」を始める。しかしその矢先、台風による大きな被害を遭うなど、順風満帆には進まなかった。
そのことが、「循環型林業経営」へ取り組み始めるきっかけとなった。
自然被害というのは今まで何度かあったと言う。湿雪被害といって、湿った重たい雪がたくさん降り、木が重さに耐えきれず、せっかく入手した木が収穫する前に倒れてしまう。財産である為、それをなんとかお金にしなくてはいけないというところから木炭などといった加工にも着手した。さらに炭焼きの煙やおがくずなど、加工時の副産物を使用した。新たな商品に加工するなど、「ゼロエミッション」ともいわれるが、資源を使い切るという商品化にチャレンジをしてきた町なのだという。
通常であれば商品価値のあまりない様な細い木であったり、曲がった木もお金にしてきた。そういう土地柄であると田邊さんは話す。
そして、最後に生まれたのが、枝葉の活動である。「森」を中心に林業を行い、精油を作ったり、森林療法という、森の中へ入って癒されることで心とカラダを整える。そういった産業に関しても取り組んだという経緯がある。
それを行なっていたのが2000年頃の話。その当時の取り組みであった精油作りに遡り、実際に事業化したのが下川町の森林組合だったという。
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
田邊さん達が下川町で行う林業の特徴の一つとして、2003年に北海道で初めて国際的な森林認証を取得した。現在NALUQの製品にも認証が施されている。森林業界にはいろいろな認証制度があるが、下川町が取得した認証は、国際的にも一番厳しいと言われており、森林環境保全に配慮し、地域社会の利益にもかない、経済的にも持続可能な形で生産活動がなされている森や、そこから生じる林産物を認証する制度となっている。
森林認証マークがついていることで、選ぶことができる。マークがついていないとわかりようがないので、認証付きの商品や森を増やすことが大事なのではないかということが、若かりし頃の田邊さんへの答えなのかなと話してくれた。その事が、持続的な林業の実現に取り組む下川町に興味を持つきっかけでもあった。
当時は森林組合の男性陣が葉っぱを運び、仕事の合間にも精油作りに取り組んだ。
最初に作ったブランドは「北海道もみの木」というブランドだったそうだ。当時の担当者たちが手書きでデザインをして、自分たちで一生懸命販売も行っていた。田邊さんはその頃、お客さんの立場であったという。そのブランドを経て、下川町にあるNPO法人「森の生活」という別の団体へ精油事業を移す。その頃に田邊さんが下川町へ移住をし、担当することとなったのだという。
その時に新しいブランドとして「フプの森」を立ち上げた。そしてその後、森林組合時代に事業を担当していた女性と二人で同名の株式会社を作り、同じく精油事業の経験もあり林業にも携わっている男性二人にも、アドバイザーという立場で関わってもらった。
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
自分たちが関わってきた事業なので、そこから再スタートしたいという気持ちから独立をさせてもらったのだという。それが2012年のこと。
仕事の内容とは
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
森の真ん中に生えている木は上の方にしか葉っぱがついていないという。日陰のところの枝が育たない為だ。
こういったトドマツが生えている森に田邊さん達自ら、葉っぱを取りに行く。トドマツはとにかく、ヤニがすごいそうで、重いものも担ぎ、泥まみれにもなる。
近くで林業機械も動いている。手伝ってもらう人にはきちんとレクチャーもすると言うが、林業は危険と隣り合わせであるという。命に関わる様な事故も多い。気をつけながら木の下敷きにならない様に、機械にぶつかったりしない様に、色々な事故を想定しながら作業を行っている。
精油を作る為に機械を動かすことはまずないという。基本は林業の仕事の邪魔をしない様に、田邊さん達は手作業が主だ。たまに彼らの作業の流れで助けられるということもあるが、精油事業のために何かをしてもらうということはないのだという。
今度は生産量を増やすために効率化を目指し、機械の力も借りたいと考えている。今年から林業の皆さんと協議しながら新しい体制を整えたいという。
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
ノコギリと鎌を使って、太い枝から手作業で葉っぱだけを切り取っていく。木に絡まっている為、引っこ抜くのも一苦労だという。力作業だ。パンパンに詰めた葉っぱを軽トラックに乗せて工場まで運んでいく。そして工場で蒸留作業を行う。
詰め替えて窯の中へ入れ、水蒸気で蒸す。
それがエッセンシャルオイルを採る一般的な方法である、水蒸気蒸留法と言い、下から蒸して、集まった蒸気を冷やす。そうすると原料に含まれていた精油成分が一緒に冷やされ香りのついたお水とエッセンシャルオイルが両方出てくる。
エッセンシャルオイルが含まれているので上がオイル、下が水となって抽出される。エッセンシャルオイルと言われる小瓶に入ったものはこの上に浮いたオイルである。下の部分の芳香蒸留水も化粧品原料として使われたり、そのまま化粧水として使用もできる。
原料としてではなく、一部残渣の葉っぱも乾かして枕の中身としての活用。それも製品化されている。乾燥にすごく時間がかかるそうで、たくさんは作れないのだという。
https://fupunomori.net/online-shop/items/naluqより引用
森へ葉っぱを取りに行き、そこからエッセンシャルオイル、芳香蒸留水、ピローが生まれた。
次回は【NALUQ】ブランドが生まれた経緯と、製品ラインナップをご紹介致します。
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